(本論は、2025年11月18日に共同通信が配信し、全国の地方紙で掲載。本ブログは宮崎日日新聞の了解を得て掲示。)
トランプ米大統領のガザ和平案に基づき、10月に合意された停戦を監視する国際安定化部隊(ISF)設置を許可する国連安全保障理事会決議が採択された。既に「第1段階」としてイスラム組織ハマスが拘束していた20人のイスラエル人の生存者と、イスラエル政府が拘束していた約2千人のパレスチナ人の解放は実現しており、これから最大の正念場である「第2段階」に入る。
「第2段階」の主な内容は、①イスラエル軍のガザからの段階的な撤退、②ハマスの武装解除、③ガザの統治を担うパレスチナ人らによる実務委員会と、それを国際的に支援する「平和評議会」の創設、④評議会によるISFの設置と部隊派遣―の四つである。
和平案の実施においては、④のISFが停戦維持に役割を果たせるかどうかが鍵となる。停戦さえ維持できれば、イスラエル軍のガザからの撤退やハマスの武装解除なども、段階的に実施することが可能だからだ。
ISFは、いわゆる「国連PKO(平和維持活動)」ではない。PKOであれば、規模に合わせて予算が計上され、加盟国に決まった割合で請求される。集まったPKO予算から、部隊派遣国に要員1人当たり月額約22万円相当の資金が送られるなど、財政支援の方法は確立している。
しかし、今回のISFでは、財政的基盤をどう作るか何の議論もされていない。部隊派遣の候補国と見られるインドネシア、マレーシア、パキスタン、エジプトなどが部隊を送ることになっても、それを国際的に支える財政基盤を構築することは必須である。
私は、日本が主導し、国連開発計画(UNDP)など国際機関に「ISF支援のための国際トラストファンド」を設置することを提案したい。日本が数十億円規模で最初の拠出をしつつ、世界全体に、「この国際ファンドに拠出することで、ガザの停戦を維持し、人道支援を続け、復興を求める意思を、国際社会全体として示そう」と呼びかけるのだ。
私は東南アジアや中東、アフリカなどを訪問することも多いが、第2次大戦終結後、平和国家として、こうした地域の人々の「自立と安定」を支援してきた日本への信頼や評価の高さを肌で感じている。
その日本が、ガザの持続的停戦、人道支援、そして復興へとつなぐ上で極めて重要なISFを支援する国際ファンドへの協力を呼びかければ、サウジアラビアやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)など中東の富裕な国、欧州、カナダ、アジアの国々などから広く資金が集まるはずだ。
また日本が設置を主導し、財政的基盤を作ることができれば、ガザに生きるパレスチナ人、中東の平和を望む世界の人々、そしてガザ停戦やISF設置に今のところ熱心に取り組むトランプ大統領からも深く感謝されるであろう。
今年度に入って激しく動いた国際課題への拠出は、補正予算の活用が最も容易だ。年末に成立が見込まれる補正予算でISF支援国際ファンド設置に向けた財政的裏付けも確保できれば、まさに世界の真ん中で平和に貢献する日本の具体策にもなると考えている。
(追記。2025年12月16日に成立した2025年度補正予算には、250億円の「パレスチナ及び周辺国の緊急支援ニーズへの対応」が盛り込まれた。JICAなどがガザに直接入って事業を行うのはまだ困難で国際機関を通じての支援が主になることもあり、本提案への拠出も政治決断があれば十分可能と考える。)